ただし、今後の進捗状況にもよるだろうが、潜在市場は限りなく大きいといえる。IT先進国の韓国ではインドアゴルフ市場が約800億円といわれ、ゴルフ用品市場と双璧をなしている。韓国でのゴルフはハイエンド層のスポーツであり、ゴルフ場数は日本の6分の1程度、さらには厳冬のためゴルフがシーズンスポーツになっているという事情もあるが、サラリーマンが昼食を取りながらゲームに興じる光景も一般的で、日本でも参考になる先行事例が散見される。
先述したオンライン対戦(ゲームセンター等)もそのひとつで、すでに日本でも同様の事例がある。米フルスイングゴルフ社の『フルスイングゴルフ』を販売するエンジョイゴルフ&スポーツジャパン社は、オンライン機能で世界を結び、シミュレーターゴルフでの世界大会を頻繁に開催している。『フルスイングゴルフ』は世界30ヶ国、累計4000台以上を出荷して、リゾートホテルやゴルフティーチングセンター、大学などにも設置例がある。
一方で、国内123コースを保有するアコーディアゴルフは08年8月、都内に会員制のインドアゴルフ施設を立ち上げたのを皮切りに、5年を目処に関東5箇所、関西5箇所、中部2箇所のインドアゴルフ施設の立ち上げを目論んでいる。楽しく練習することでゴルフ人口を増やし、ソフトに自社コースをプログラムすることでリアルへの導線づくりにする狙い。また、パチンコ業界で広告代理店業を営むゲンダイエージェンシーは、100%子会社のマスターシップを設立して、09年1月に都内江東区に260坪のインドアゴルフ施設を立ち上げた。異業種参入による業容の拡大が主目的だが、消費者金融への規制強化でパチンコ業界は疲弊しており、閉鎖ホールも相次いでいる。これを有効活用する施策が同社の次世代ビジネスとなっているため、「ゴルフ施設」に可能性を見いだしたもの。

大規模なビジネスがある一方、小規模プランでの提案も誕生している。ファミリーゴルフジャパン社の『アイショット』は1台350万円以下で「コンパクト&リーズナブル」が売り。ゴルフバーなどの特別空間に対する売上効果の低さを払拭するために、練習やレッスンに最低限必要な機能のみを搭載したモデルを販売する。ゴルフバーでは収益性が低く、ゴルフシミュレーターの販売量は今のところ増加が見いだせない。投資と使用目的をスリム化することで流通量を増加させ、市場規模を拡大させていくという戦略になっている。

これらの市場の流れの中で、ゴルフシミュレーター関連各社が「ゴルフシミュレーション普及促進委員会」の設立に向けて動き出している。風営法対策でゴルフシミュレーターがスロットマシンやゲーム機などと同じ「8号機指定」を受けてしまうと、設置店は深夜営業が出来なくなる可能性があるが、これを事前に回避することが目的だ。委員会の発足に向けて音頭をとるのが、『ゴルフゾン』を販売するゴルフゾンジャパン社。ゴルフシミュレーターはスコア表示があるため賭博性が否めないというのが警察関係者の認識だが、その回避策として、深夜帯はスコア表示をなくしたり、インストラクターの常駐でスポーツ施設化することがあげられる。ここに一つの市場拡大のヒントがあるように思われる。現在、ゴルフ用品市場でレッスンとギア販売の融合は様々な問題で1流通チャネルとして成立しているとは言えない。インストラクターがゴルフシミュレーターでレッスンを行うと同時に、複数メーカーの商品を販売することが出来れば、ゴルフバー自体がゴルフ用品市場で新たな流通になる可能性も大きく、さらにはゴルファーの創造も可能だろう。日本プロゴルフ協会の認定資格を保有するプロゴルファーは4500名ほど。その殆どがレッスン業に携わっていないこともあり、人材確保は困難を極めない。それがゴルフバーとするならば、飲食、ブース料金の他に収益アイテムが増加することで利益増加に繋がる可能性も高い。ゴルフシミュレーターが様々な業界で活用され始めた現在、納入実績の少なさから市場規模の将来像を描くことは容易でないだろう。ただ、様々な市場との接着剤になる可能性は大きく、だからこそ緩やかなスピードであってもその市場動向が注目に値する。

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